インターネットを通して出会った人(先生)
会社を辞めた一年ぐらい前から、起業だの、独立だの、お店を開くだの、そんなサイトに登録する。
そして、実際になんどか起業について説明も受けに行った。
かばんのリペアや土地の売りかえなどの相談に行ってみた。
でも、話を聞いて、それでちゃんと生活していくことができるかはわからなかった。
正直にいうとピンとこない、実際に人と会って話をしたが、信用できるできないとかそういうことでなく、説明をうけた内容でこの先に生きていけるイメージがつかなかった。
色々な選択肢を人は頭の中で思い巡らせる。
この先の人生のこと、生き方のこと、色々なシュミレーションをする。
どれくらい儲かるのだろうかとか、今の収入よりどれくらい変わるのだろうかとか。
そもそも生きていけるのかというところだった。
一年前、会社を辞めて、別のことで生きていくことを数か月考えていた。
一年前の春から、夏になるくらいのまでの間。
その時に頭の片隅で、ひとつ思い浮かんだ選択肢、でも一番現実的な感じがしない選択肢があった。
それが今やっていることだった。
とても、とても非現実的な世界だった。
インターネットで今の先生のブログに出会う。
先生のブログの内容は、簡単に書くと、好きなことをする、綴る、会社を辞めて生きていくというような内容だった。
実際にお金を出して、お店を開いたりするのとは違い、自分のブログをつくって生きて行く、ネットの世界で生きていくことを綴ったブログであった。
ただ、単純にネットビジネスということであれば検索するとけっこうある。
文章の書き方から、キーワード、アクセスの上げ方からトレンドブログなどなど、そんなサイトは検索するとネット上に数多の星の数ほどある。
元々、ネットビジネスということは頭になかった。
それで生きていけるなんて想像できなかった。
いや、そういう世界はあるとはわかっていたが、スマートフォンが普及した現在、良く目にするようなサイトを自分が作るということは想像できなかった。
いわゆる人気ブロガーとか、そういう人がいることは知っていたが、先生のブログは考えていたブログ像、そしてネットの世界で生きて行くイメージとはずいぶん違っていた。
ひっそりと、隠居のように生きていく。
この世のさわがしい日常から離れ、穏やかな気持ちが伝わる、まるで別世界の文章だった。
そして、いちばん気になったところ、そのブログの中で、先生は小説家になりたかったと書いてあった部分だった。
そいう言えば、いつか私も物を書きたいと思ったことがあったなって、ブログを読みながら、ふと昔の気持ちを思い出した。
先生の夢に、惹かれたのかもしれない。
夢は夢のまま、そんなの叶うことないだろうって、なかば断定的だったいつかの想いが頭をかすめる。
小説家をめざしていた先生の文章は、不思議と惹き込まれる綴り方だった。
どんどんブログを読む。
ブログを通して会社にとらわれない生き方を知る。
こんな世界ってあるんだなって。
ただ、すぐには信じれなかった。
3月頃に先生のブログにたどり着いてから、ブログを何回も訪れては、文章を書くことが、正しいことだろうか、もしくはそれで生きることができることだろうか、ずっと考えていた。
先生のブログに出会ってから、実際に行動できたのは7月くらいだった。
仕事のストレスからか、リンパ線がはれ、病気が疑われ、この先の命の心配をしたのがきっかけだった。
お店を開くのだの、そういった話を聞いたりと平行しながら、先生のブログのお問い合わせから、ある時、連絡をした。
考えてみたら先生のブログを知ってから、それまで半年近く経っていた。
送信ボタンを押したとき、
そこから、いつかみた星空がどんどん広がっていくように、少しずつ世界が変わっていった。
それは、見上げる星空が、季節が過ぎていつの間にか違う星座に変わっていくように・・・。
コメントを残す