仕事の人間関係に良いことはなかった・・・
ずっと会社の人間関係には苦労してきた。
派遣社員という立場だが、4年半以上働いてきた。
技術的な部分を扱う事務職で、工事現場からの問い合わせに毎日対応する職場だった。
電話なんてひっきりなしだった。
鳴りやむことがないような職場。
いつか3年働いて、工事の判断ができるようになれば、直接雇用が、とほのめかされて、
そう、どこかでかすかに期待を抱いて生きておりました・・・。
直接雇用になることを信じて働いて、良いように使われて
3年働いて工事の判断ができればということを鵜呑みに、いや、そんな希望がなければ働くモチベーションも生まれない。
信じるしかありませんでした。
私は、文系出の人間だった。
事務処理をしつつ、現場からの問い合わせに対応する毎日。
はじめは、ちんぷんかんぷんな話ばかりでした。
細かく言えば物理の世界でした。
しんどかった日常
工事を進められずに、イライラが伝わる工事現場の職人気質の太い声、
わからないのに判断しなくていけないから、待たせて怒鳴られることなんて良くあることだった。
まわりの社員の多くは、工業高校を出て、そのまま正社員として働き、若い頃に現場をみたことのある経験者たちばかりだった。
だから、実際にどんなものか見ている経験があるので電話の向こうの工事人の言っていることは、あたり前だが理解し、工事人と会話ができる。
私なんか、今までに電話対応といったらエンドユーザーからの問い合わせに答えるコールセンターの仕事ぐらいでして、技術の現場対応なんて皆無の経験でした。
もともと派遣社員でしかなく、現場に出たことのない、工事の経験がない、機材すら触ったことのない人間が工事の判断をするなんてあってはならないと思うのだが、だんだんと対応するのが暗黙の了解となっていった。
会社なんてほんとに都合よく解釈する。
社員も派遣も垣根なく、みんなで乗り越えていくのだと何度か朝礼でも聞かされていた。
働き方改革、業務の属人化の是正、そんなの大義名分だった。
ほんとうに都合の良い言葉だと思った。
社員も派遣も一丸となる、聞こえは良いが、そんなの会社側の都合の良い解釈でしかなかった。
工事の判断は、判断ミスをしてしまえば、否応なく利用者のサービスが止まる。
そして技術判断をしたものが責任を負う。
同時に、契約をとった営業から工事がキャンセルになったことでの問い詰めと契約が成立せず、インセンティブが消滅したことへの不満の電話。
重ねて、工事会社も工事が延期になることで、受け取れる工事費が発生しなくなるので、できれば工事は行いたい。
営業も工事会社もどちらも、理由なんて関係なく工事を続行したい。
正直いえば、技術側で工事を続行して良いとの判断があれば、そのまま現場は工事を続行し、ユーザーのサービスが止まっても、関係ないような感覚でした。
施工問題の根本を解決しないまま、営業部、工事会社の都合を優先し、工事続行の判断をし、いざ判断ミスになれば、当然、判断した責任がくる。
あげく顧客対応、お詫び、そしてなぜ工事を続けたのかの説明を上司へすることになる。
こんなことを派遣社員がやっていた・・・。
別に良い、それで社員になれるなら。
今よりも給料の水準があがり、正社員とおなじ待遇になるなら。
雇用側の本音に気づいてきてしまった・・・
でもならなかった。
いつだか、工事の対応を必死に覚え、正社員に教えたり、対応をかわったりするまで努力したが、派遣先はみて見ぬフリをしていた。
社員は工事の判断ミスが自分の責任になるのを恐れて、派遣の私が対応してもおなじく見て見ぬフリをしていた。
いつだか、これができれば直接雇用ってことも、ああ無理なんだなと、だんだん感じはじめていた。
そして仕事内容に絶望しては、辞め、またどんどん入ってくる新しい派遣社員、そして大卒の新入社員へも仕事も教えることになった。
一生懸命教えていたら、どんどん面倒な案件が私にふってくるようになる。
本来であれば、責任が必要な判断は正社員がやるはずで、おかしいことだ、給料だって当然上で、ボーナスだって出る社員のはずなのに、どんどん仕事は楽な方しかやらない。
なんで派遣社員の私が、新卒の子の仕事をフォローするのか?
給料だって新卒の方がおそらく高い。
いつの間にか新入社員の教育係にもなっていた。
給料なんて4年半前にはじめてから手取りなんて良い時で20万円、通常は15万円ぐらいだった。
そこから交通費、税金もとられるので手取りはさらに低い。
しかし属人化をなくすという大義名分で、社員と同じような働きをさせられる。
そういつかは直接雇用になればと、そう信じるしかそこにいる意味なんてありませんでした。
立場の違いでの色々な差別
契約社員からも業務の上で差別されていた。
本来事務的な仕事で入ったのだが、契約社員の事務的な人たちは彼女らのやっている仕事を開示してくれない。
そして面倒なこまごまとした業務上の集計や、時間のかかる作業については派遣さんにお願いするというルールもできていた。
だから事務方の契約社員はあまり意味のない形式上の事務作業を手伝ってくれなかった。
そんな中入ってきた一人の新しい若い、きゃぴきゃぴの派遣社員の女性がいました。
その人にいま私がやっている業務を教えるようにとの指示でした。
一所懸命教えた、わかるようにマニュアル造りからちゃんとした。
そしたらあとからきた、若い派遣社員がいきなり、正社員となった。
「なんで、何が違うのか」
その子は、正直に言いますと、ろくに技術のこともわからずに・・・
どっちかと言うと、こちらがフォローをして、
面倒な案件ですとか、引き継ぐことが多く・・・
私は派遣先の管理者から嫌われているのだろうか、
嫉妬も正直ありましたが、正社員になったその子に対して私はあまり人間的な魅力を感じませんでした。
男性社員にあまえて、すぐに頼るし、なんでなのか今でも理解できない・・・。
お昼どきになれば、席にいない、嫌われている社員の悪口を、まわりの人達とキャッキャと話すような感じの子で・・・。
そこから私はどんどん自分のやってきたことがわからなくなっていきました。
工事の判断も事務処理のかたわら解決していき、事務仕事の合間にこなす。
集計用のデータ表をつくるのに真夜中の2時過ぎまで会社に残ったこともあった。
でも、私なんて派遣先からみたら使い捨てでした・・・。
本当のことに気づくのが怖かったが、その真実に向き合うとだんだんやる気というか、仕事に対しても人に対しても期待がなくなっていき、そうしたら肌がボロボロになり、体がどんどん壊れていく感じになってきた。
もうなかば、正社員を目指すことに、意味も魅力もなくなっていた。
苦しい状況を見て見ぬフリをする環境で、周りの人たちと同じ立場になることにまったく良いイメージが浮かばなかった。
社員として働くこと、それが夢・・・、なんて小さい夢だったのだろうか。
そんな真実に気付いてしまったのでした・・・。
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